直木賞受賞作 門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」がすごい面白い!

「お前は、父でありすぎる」

門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」に出てくるセリフである。

この第158回直木賞受賞作が、かなり面白い!

主役となるのは宮沢賢治の父である政次郎。

この父親が、とにかく「親バカ」である。

明治7年生まれの岩手県民。

イメージとしては寡黙であり、怖い存在。

もちろん本人も威厳を保とうとしているが、これが全然怖くない。

いい父親であろうとするばかりに、いつも甘やかしてしまう...

そんなコメディータッチな内容と、少しホロリとする物語。

これから、あらすじを紹介していきます。

あらすじ

父でありすぎる

岩手から京都に古着を仕入れに来ている政次郎。

そこに一通の電報が届く。

「ヲトコウマレタタマノゴトシ(男生まれた、玉のごとし)」

後に詩人で童話作家の宮沢賢治の誕生である。

仕入れが終わり、地元花巻に帰ってきた政次郎。

赤子を見ても威厳を保とうとするが、自分の小指を小さな手で包み込むと、
「あやしてやりたい衝動に駆られた。いい子いいこ。べろべろばー」
としたいのを我慢するのが精一杯。

これが賢治の父政次郎であった。

そして6年後の賢治7歳の時、赤痢と思われる病気を発症する。

入院が決まり慌てる政次郎。そして出した結論は、

「私が行く。賢治のめんどうは私が見る。看護婦ごときに任せられぬ」

世間体もあり、止める妻のイチ。

しかし政次郎の決意は固かった...

石っこ賢さん

賢治は8歳になり、小学校へ入学する。

学業は非常に優秀であった。

しかし、やんちゃであり悪さばかりをする毎日。

そして頑固な性格であった。

あるときイタズラから火事騒ぎが発生した。

問い詰めるが賢治は嘘をつき、それを知りながら不問にする政次郎。

このような関係が続くのであった。

しかし3年後に変化が見られた。

賢治は2歳年下の妹トシと一緒に石集めを始めていく。

それより、「石っこ賢さん」と呼ぼれている。

そんな賢治だったが、妹たちに対して意外な才能を発揮する。

それは、自分で作った童話を話していくことだった...

チッケさん

賢治も小学校卒業を控え、進学か家業を手伝うかの選択の時が迫ってきた。

政次郎の父喜助は「質屋には、学問は必要ねぇ」と進学を認めない。

実際、政次郎も進学せずに家業を手伝っていた。

しかし政次郎は父を説得し、賢治の進学を認めることになる。

その後、賢治は卒業し盛岡中学に入学をすることになる。

賢治は寮に入ることになり、政次郎は賢治のいない毎日を実感する

そして政次郎は初めて、他の子供たちに目を向けることに...

店番

賢治は盛岡中学を無事に卒業。

しかし順位は下から数えた方が早い成績だった。

あやまる賢治だったが、政次郎は内心喜んでいた。

(この成績では、さらに進学したいとは言わないだろう)

また命に係るほどではないが、また手術と入院が必要になった賢治。

またもや付きそうことを決めた政次郎。

妻のイチも、あらがっても無理なのを知っているので、あっさり承知した。

入院生活は順調に進んでいた。

しかし賢治は改めて進学への意思を、父政次郎に願い出るのであった...

文章論

結局、盛岡の高校に進学した賢治。

同時に妹のトシも東京の大学への進学が決まり、家を出ることになる。

また2年後には次男の清六まで中学に進学し、家を出ていった。

急に家の中が寂しくなり、気弱になる政次郎。

そんな時、妻のイチに話した。

「なあ、もういいよ、看板をおろす。質屋は、店じまいだじゃい」

おそらく賢治は、質屋を継がないのを悟った政次郎。

今すぐではないが、質屋を廃業することを決意するのであった。

しかし問題は賢治の将来の仕事について。

政次郎は賢治の考えを聞くのだが、ここで賢治は驚くべきことを言い出した...

人造宝石

東京で病により入院しているトシ。

母のイチと賢治は東京に見舞いに行くことになる。

実際の看病はイチがするため、手持ちぶさな賢治。

そこで賢治は昔のように童話を聞かせて、トシを楽しませるのであった。

病気も順調に回復し、隔離室から一般病室に移動することになる。

そこで賢治は母のイチを花巻に帰し、一人でトシの看病をするこを決める。

そしてトシから賢治の将来に関する、ある提案をされることに...

あめゆじゅ

当時、賢治は国柱会という日蓮宗系の宗教に傾倒していた。

そして衝動にかられるように家を出て、東京に向かう賢治。

しかし国柱会では無視されたため、仕方なく働くことにしたが小さな出版社であり、無意味な日々を過ごしていた。

どこから聞きつけたのか、父からの援助の小切手がとどいたが、全て送り返す賢治。

余裕はなかったが、ただの意地のようなものだった。

そんな時、文房具屋で見つけた原稿用紙。

とつぜん賢治の頭のなかに「ことば」が溢れるように流れてきた。

全てをつぎ込んで執筆に専念する賢治。

なぜ書けたかすら理解出来ない状態だったが、ある想いを強くする。

そんな時、ある一通の電報が届く。

「トシビヤウキ スグカエレ(トシ病気 すぐ帰れ)」

これにより全てを清算して、賢治は花巻に帰るのであった...

春と修羅

看病の甲斐なく、亡くなったトシ。

賢治は通夜にも参加せず、自室に閉じこもるのであった。

ただ火葬には参加し、ある行動を取ることになる。

そして落ち着いた後、次男の清六が政次郎にお願いに来た。

それは家業を継ぐ約束と、東京での勉強についてだった。

また賢治も東京の出版社に向かうが、後のことは弟の清六にまかせてすぐに帰ってきた。

この時には賢治も教師の職に着いていたため、長逗留は出来ないのあった。

しかし書けども結果の出ない賢治の作品。

それでも投げ出すことなく作品を作り続け、教師も評判良く続けている賢治。

政次郎は、こんどこそ賢治の人生が上手く行くことを確信する。

そんな時、賢治の作品が新聞に掲載されることになる...

オキシフル

作品に集中したいため、教師を辞めることにした賢治。

また家を出て一人暮らしをすることが決まった。

執筆はもちろん、農耕にもはげむ賢治。

心配になった政次郎は賢治のところに向かうことにした。

そこで賢治は「羅須地人協会(らすちじん協会)」の看板を掲げていた。

また清六は質屋を止め、「宮沢商会」という会社を立ち上げる。

それは小さなことから初めて、後々大きくしていくという堅実なものだった。

順調に進むかと思われた時、賢治が病に倒れることになる...

銀河鉄道の父

賢治が亡くなって2年が経過した。

そんな夏の日、次女のシゲが子供5人を連れて実家に帰ってきた。

おじいちゃんになった政次郎。

孫に囲まれ困りながらも嬉しそうに、賢治の詩や童話を話していく。

詩はともかく童話に興味を示す孫達。

そんな日常を過ごしながら、物語が終わりを迎える...

まとめ

非常に面白く、そして素敵な物語でした。

宮沢賢治は昔の文筆家らしく苦悩の塊のような人物。

はっきりいって、家庭人としては才能ゼロ。

そんな息子を厳しくと考えながら、ひたすら親バカを発揮する政次郎。

いつもやさしい母親のイチ。

そしてかわいい妹や弟達。

全体的に政次郎の考え方が、コメディータッチで面白い。

そして少しほろっとする場面もある。

文体も全体的に会話中心で読みやすく、読み手を選ばないだろう。

直木賞受賞作品と構えずに、気軽におすすめできる一冊です。

銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞
門井 慶喜
講談社
売り上げランキング: 3,331

スポンサーリンク
wp_336x280R
wp_336x280R
関連記事&スポンサーリンク

関連記事&スポンサーリンク