「友へ、最上のものを」。伊吹有喜さんの「彼方の友へ」がすごい面白い!

「『友へ、最上のものを』。ただ、それだけ。心をこめて、それを届けるだけ」

伊吹有喜さんの小説、「彼方の友へ」のセリフである。

この小説、とにかくすごい、とにかく面白い。

生き生きとした主人公、佐倉波津子(本名ハツ)

有賀主筆や絵師の長谷川純司など、魅力的なキャラクターたち。

目の前に広がるような、素敵な描写表現。

そして戦前戦後の、美しくも哀しい物語。

とにかく読んでる間、その空間に引き込まれる感じ!

これから、あらすじを紹介していく。

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あらすじ

プロローグ

佐倉波津子は女性の声が聞こえたので目を開いた。

今は施設で暮らす波津子の元に、赤いリボンが結ばれた薄くて黒い紙箱が届く。

その中には花札と同じサイズの、花が書かれたカードが入っていた。

「フローラ・ゲーム」

短く答えて、波津子はカードの箱を受け取る。

箱の裏には、懐かしい名前が書かれていた。

「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」

彼方から友の声が聞こえてくる。

第一部 昭和十二年

戦争の足音が近づいている11月、波津子を呼び止める声がする。

「おおい、ハツ公」

幼馴染の二つ年上の18歳、春山慎。

その時、秘密の物を渡される。

「絶対、人に言うなよ。でも今回はすごいんだぜ」

それは少女雑誌「乙女の友」の巻頭を飾る口絵の試作品だった。

有賀憲一郎の詩と長谷川純司の抒情画。

そして発売前のフローラ・ゲームが一枚

波津子のこれからの人生に深く関わる作品との出会いであった。

その後、叔父の紹介により、「乙女の友」編集部で働くこととなる。

夢見た場所、憧れの有賀主筆の直属の部下になったのだが、男手を希望していた有賀主筆には冷たい態度で迎えられることになる。

上手くいかない日々が続く波津子だが、作家の荻野紘青との事件がキッカケとなり、徐々に
周りに認められていく...

第二部 昭和十五年

「乙女の友」編集部で働き初めて3年目。

19歳になった波津子は編集部の中で、認められる存在になっていた。

そんなある日、波津子の創作話を聞いた作家の空井が言った。

「フルーツポンチ号の仲間の話、僕も聞きたいな。書いてみませんか?」

作品を書いてみるも、有賀主筆からの叱責などにより自信を無くす波津子。

しかし問題が発生し、波津子の作品が「乙女の友」に掲載されることが決定する...

第三部 昭和十五年 晩秋

明日、都内で愛読者が集まる「東京 友の会」が開催される。

それに急遽欠席者の代理として、出席が決まる波津子。

華やかな舞台に気後れするが、周りの後押しにより出席を決意する...

第四部 昭和十八年

戦争も初めは良かったが、日々状況は悪化し、生活物資にも困窮する毎日。

母も半年前より山梨の療養所に入り、波津子は一人で暮らしていた。

また同じく働いていた史絵里も実業家と結婚し、満州に旅立っていった。

そして幼馴染の慎までもが戦地に赴くことになる。

そんな時、ふとしたことから有賀主筆への想いに気づくのだが、その有賀主筆までが戦地に
行くことが決定。

落ち込む波津子であったが、有賀主筆の後の主筆にならないかとの打診があり...

第五部 昭和二十年

戦争の状態は悪化の一途をたどり、東京も焼け野原になっていた。

主筆になった波津子だが、現在の編集部には波津子を含めても四人しかいない。

「乙女の友」の内容も戦争に影響される物になっていく。

そして、終戦を迎える。

気が抜けた状態で日々を過ごす波津子の目の前に、絵師の純司が戦争より戻ってくる。

「終戦二ヶ月前まで発行していた気合の入った雑誌が、たかが戦争に負けたからといって、
このままおめおめと引っ込むつもりかい?」

純司の励ましにより、終戦二ヶ月には発行することを決めた波津子。

約束通り発行出来た日、波津子が見たものとは...

エピローグ

施設の波津子の元に、二人の男女が訪ねてきた。

上品なツイードを着た女性と、二十代とおぼしき眼鏡をかけた青年。

その二人の語る言葉により、波津子は過去を蘇らせていく...

まとめ

このまとめを書いている途中に確認しているだけで、読んでいた時が蘇り幸せな気分に
なりました。

私とは生きた時代が違いますが、当時が目に見えるようです。

現実はこのように、美しい世界ではないかもしれない。

しかし、このように美しい世界であって欲しいと願っている。

読んだ後に知ったのですが、第158回直木賞候補作みたいです。

受賞されるといいですね。

本当におすすめの作品です。

彼方の友へ

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